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2015年6月30日火曜日

ソーパルメット

○ソーパルメット(Saw palmetto)

 北アメリカに自生する常緑低木で、ヨーロッパでは薬用にされています。

 風邪や気管支炎によるせきを抑える働きもありますが、近年ソーパルメットが注目されているのは、前立腺肥大による頻尿をやわらげる効果です。

 ヨーロッパでは治療薬として使われ、日本でもソーパルメットを用いた健康食品が薬店で売られています。社会の高齢化に伴って前立腺肥大に悩む人が急増していることも影響しているのでしょう。

 ソーパルメットのお茶は、洋酒のような香りで、味はほとんどありません。好みのハーブとブレンドして飲むとよいでしょう。前立腺肥大の予防効果か期待できますが、排尿時に痛みがあるとき、血尿が出るとき、前立腺が腫れて痛むときなどは、医師の診断を受けてください。

ソーパルメットティー

2015年6月29日月曜日

ジュニパーベリー

○ジュニパーベリー(Juniper berries)

 ヨーロッパ、北アメリカなどに広く分布するジュニパーの球果が薬用酒に用いられるようになったのは、1500年代のこと。利尿作用が目的でしたが、マツヤニにも似た独特の香りが人気を呼び、スピリッツとして世界的に広まりました。これが、ジンの起源です。

 ジュニパーベリーのお茶は、引き締まった風味の中にほのかな甘さがただよい、すっきりしたあと味がします。強い利尿作用と解毒作用があり、体内の余分な水分や毒素を排出してくれるので、痛風やリウマチに効くことが古くから知られています。尿道炎や膀胱炎にも効果的です。ただし、妊娠中や腎臓に障害のある人は飲用しないでください。

 肉をスモークするときに、葉や枝を使うこともあります。かつてフランスの病院では、空気の浄化の目的でジュニパーの葉や枝を燃やしていました。

ジュニパーベリーティー

2015年6月28日日曜日

スイートクローバー

○スイートクローバー(Sweet clover)

 ヨーロッパからアジアにかけて広く分布し、荒れた土地にも生育するハーブ。スイートクローバーのお茶は、甘い草のような香りがし、ウーロン茶に似た親しみやすい味です。

 このハーブは、「静脈の強壮剤」といもいわれるほど血管に強く働きかけ、静脈瘤の改善、血栓の予防に効果を発揮します。そのほか、血液循環の不調によって引き起こされる多くの症状をやわらげてくれます。

 効き目のおだやかな鎮静剤として使われます。強い鎮静剤はこわい、と感じる人におすすめです。血液凝固障害の病歴がある人は、飲んではいけません。

 メリロットとも呼ばれ、チーズフォンデュなどに使われるグリュイエールチーズやウオツカ、ビールなどの香りをつけるために使われます。

スイートクローバーティー

2015年6月27日土曜日

シベリアンジンセング

○シベリアンジンセング(Siberian gingseng)

 シベリアンジンセングは、根に含まれるエクセロサイドという成分の薬効が注目されています。肉体と精神の両面のストレスをやわらげるとともに、ストレスへの耐性を強くするからです。

 ロシアでは、アスリートや宇宙飛行士の体力づくりに使われています。

 すぐれた強壮効果や脳を覚醒させる効果があり、スタミナも向上させます。チェルノブイリの原発事故の後は、放射能病の治療に用いられました。

 香りや味がないので、シベリアンジンセングのお茶はブレンドティーにして飲みます。コレステロール値や血圧を調整してくれるので、重大な病気の予防効果も期待できます。感染症の症状を抑える作用は、風邪をひいたときにも有効です。

 同じような薬効のあるジンセング(ヤクヨウニンジン)に比べ入手しやすく、副作用はほとんどありません。

シベリアンジンセングティー

2015年6月26日金曜日

アイブライト

○アイブライト(Eyebright)

 アイブライトは、やせた牧草地や荒地に生えるイネ科やカヤツリグサ科の植物の根から養分を補給して成長します。中世から薬として用いられ、名前からもうかがえるように、主に目の薬とされてきました。

 赤い縞模様が入る淡い色合いの花が、充血した目にたとえられたりします。

 目にかゆみがあるときにこのハーブを使った洗浄液で目を洗うと症状がおさまります。充血や目の健康を維持し、視力が落ちるのを防ぐ効果もあるといわれます。

 させやかでクセのない風味のアイブライトのお茶は、風邪やアレルギーによる目のかゆみ、鼻水などの症状を緩和する効果があります。花粉症で悩んでいる人は、一度試してみてください。

アイブライトティー

2015年6月25日木曜日

セントジョーンズワート

○セントジョーンズワート(St.John's wort)

 セントジョーンズワートは日本にも多く生息する多年草(和名セイヨウオトギリソウ)で、タンニン、黒紫色素のヒシペリン、フラボノイドなどを含みます。

 ハーブティーにすると、やわらかな甘い香りに爽快感があり、クセのない、すなおな味です。ハチミツなどの甘みを加えてもよいでしょう。

 色素成分のヒシペリンには、睡眠ホルモンのメラトンを増やす働きがあり、不眠症やうつ症状の改善、ストレス解消に効果的とされています。不安やイライラから解放され、自然にプラス思考に導いてくれます。ヨーロッパでは「ハッピーハーブ」の俗称で親しまれています。アイスティーにしても効果は変わらないので、寝苦しい夏の夜の就寝前におすすめです。

 服用することで、強心薬、免疫抑制薬、気管支拡張薬などの効果が減少することがあるので注意。併用してはいけない睡眠薬があります。

セントジョーンズワートティー

2015年6月24日水曜日

オレガノ

○オレガノ(Oregano)

 独特の香りがするオレガノは料理用のハーブの定番のひとつで、イタリア料理には欠かせません。ドライハーブのほうが青くささがなくて、甘みが強くなります。

 オレガノのお茶は、ほのかな甘みがさわやかに感じられ、すっきりとしたあと味。多少刺激的ですが、ペパーミントなどよりはずっとマイルドです。強壮効果があるので、疲れぎみのときに飲むとよいでしょう。

 鎮静効果もあり、神経の疲れや神経性の頭痛をやわらげてくれます。胃腸の調子を整えて消化を促進するので、食後のお茶にもぴったり。せきをしずめる効果や、生理不順をやわらげる効果もあります。

 トマト料理には欠かせないほか、チーズや豆類などとも相性がよく。地中海料理やメキシコ料理でもよく使われます。ワイルドマジョラムとも呼ばれます。

オレガノティー

2015年6月23日火曜日

リコリス

○リコリス(Liquorice)

 リコリスは、紀元前500年ごろから薬として用いられていた薬効の高いハーブです。和名はカンゾウで、、漢字で甘草と書いたほうがわかりやすいかもしれません。甘草は、ほかの生薬のバランスを整えるために、多くの漢方薬に配合されます。

 甘草という中国名が示すように、非常に甘みが強いのが特徴です。根に多量に含まれるグリチルリチンは、砂糖の約50倍の甘さがあり、甘味料の材料として用いられます。リコリスのお茶もかなり甘みが強いので、ブレンドティーにするのが一般的な飲み方です。

 ほとんどのハーブと組み合わせられ、苦味やクセが強いハーブとブレンドすると、ずっと飲みやすくなります。甘みは強くても低カロリーなので、ハチミツ代わりに使うとダイエット効果があります。

 リコリスの根に含まれるグリチルリチンには、副腎皮質ホルモンをはじめとする各種ホルモンの分泌を促進する働きがあるので、抗炎症、抗ウイルス、抗アレルギーなどの作用があります。気管支炎の症状をやわらげるので、のどに痛みがあり、痰やせきなどの不快な症状があるときにおすすめです。

 胃潰瘍、膀胱炎などの疾患にも効きます。体の免疫力を高めるので、さまざまな病気を予防する効果も期待できます。ただし、高血圧の人は服用を避けてください。

 リコリスは、ダイエット甘味料として高い価値があります。リコリスの甘みを生かしたリキュールも人気があり、カクテルなどに使われます。

リコリスティー

2015年6月22日月曜日

バジル

○バジル(Basil)

 パスタ、ピザなどに用いられることが多く、日本でもおなじみのハーブです。トマトとの相性が抜群で、イタリア料理には欠かせません。

 バジルという名前は、ギリシャ語の「王様」という言葉に由来しています。それだけ人気があり、重要なものと考えられたのでしょう。この語源のせいもあり、バジルは「ハーブの王様」ともいわれます。料理を引き立てる鮮烈な風味には、そういわれるだけの価値がありそうです。

 バジルのお茶は、さわやかさの中に甘みが感じられる香りがあり、やや刺激のあるピリッとした味です。消化器系の不調を改善する働きが強いので、胃腸が弱い人におすすめです。消化を促進し、腹痛や吐き気を抑えてくれます。腸内のガスを減らし、便通を促す効果もあり、おなかが張っているときにも向きます。

 スパイシーな味わいが刺激になって気分を変えてくれるので、イライラするときや、疲れ気味のときに飲んでもよいでしょう。

 バジルは、トマト料理だけではなく、肉、魚、野菜など、どんな材料とも合います。特にニンニクやナスとは相性がよいようです。葉には防虫効果もあるので、虫よけや害虫駆除剤にもなります。エッセンシャル・オイルは、神経の疲れをとる効果が高く、マッサージ・オイルなどに用いられます。

 ヨーロッパでは広く活用されていますが、原産地はインドという説が有力です。スイートバジルとも呼ばれ、イタリア名のバジリコも知られています。和名のメボウキは、江戸時代に薬草として用いられ、水に浸けた種のまわりにできるゼリー状の粘膜で目を洗ったことから名づけられました。

バジルティー

2015年6月21日日曜日

ヤロウ

○ヤロウ(Yarrow)

 属名はギリシャの英雄アキレスにちなみます。トロイ戦争のときに、アキレスが傷ついた兵士たちを救うために薬に用いたのがこのハーブです。「鼻血」の意味もある「ノーズブリード」という俗称からも、止血薬として珍重されてきたことがわかります。

 ヤロウの花を使ったハーブティーは、くっきりとした香りで少し苦味のある味。あと味がすっきりしていて気分を爽快にしてくれます。風味がきついと感じる方は少量のハチミツなどで甘みを加えるとよいでしょう。

 ビタミンやミネラルが豊富に含まれているので強壮効果があり、栄養補給にも役立ちます。疲労感が強いときや、体力が落ちているときにもおすすめです。抹消血管を拡張する効果が、血液の循環をよくして血圧を下げ、血液を浄化します。

 生理不順の症状を改善し、高血圧によって引き起こされる病気の予防効果も期待できるでしょう。利尿作用や発汗作用もあり、風邪やインフルエンザの症状をやわらげるのにも有効です。ただ、妊娠中は飲みすぎないこと。

 ヤロウの花はエッセンシャル・オイルの薬効の高さで知られ、抗アレルギー性が強いことから、花粉症などの薬に用いられます。関節炎の腫れを抑えるマッサージ・オイルにも使われます。

 耐寒性や適応性があるヤロウは、世界各地に自生しています。和名のセイヨウノコギリソウは、細長くてギザギザのある歯がノコギリに似ていることから。夏から秋にかけて茎の先端に白もしくはピンクの小さな花が密集して咲き、長いものは2ヶ月以上も咲きつづけます。

ヤロウティー

2015年6月20日土曜日

タイム

○タイム(Thyme)

 タイムにはいろいろな種類がありますが、最も一般的なのは、コモンタイムとかガーデンタイムと呼ばれる品種です。常緑性の多年草で、大きいものは高さ40cm近くまで成長します。

 強い香りがあり、ハーブティーにするとすがすがしい香りで、少し苦い味がします。フレッシュでもドライでも飲まれますが、フレッシュのほうが香りがマイルドです。

 タイムは古代から、人々の暮らしに密着してきました。ギリシャ時代には勇気や気品の象徴とされ、「タイムの香りのする人」というのが男性に対する最高級の賛辞だったそうです。入浴後に、香水代わりにタイムの葉を体にすりこむ風習もはやりました。中世には、戦いに出発する騎士を勇気づけるため、タイムの枝を振って送り出したといわれます。薬用としては、肺によいハーブで、胃腸の働きも整えると考えられていました。

 タイムのお茶は、のどに痛みがあるときにおすすめです。殺菌効果が高く、痰をとり除く効果もあるので、風邪や花粉症のつらい症状を緩和してくれます。神経の働きを助ける効能もあり、神経性の頭痛や神経痛もやわらげます。子宮を強く刺激するので、妊娠中に飲みすぎるのは避けてください。

 すぐれた消臭効果も特徴です。ローズマリー、セージ、オレガノなど、シソ科のハーブは消臭効果の強いものが多数ありますが、タイムがもっとも強い効果を示したという実験結果かがあります。殺菌効果の点でも、タイムはハーブの中でトップクラスとされ、エッセンシャル・オイルが水虫の治療に用いられます。

 料理の中でも保存食に使われることが多いのは、風味づけのほかに保存料の意味合いがあるからです。加熱しても香りが失われず長時間続くので、シチューやスープにも使われます。

タイムティー

2015年6月19日金曜日

エキナセア

○エキナセア(Echinacea)

 ローズ色に近い紫色のきれいな花を咲かせるエキナセアは、園芸科の間ではパープル・コーンフラワーの名で知られています。もともとは北アメリカの草原地帯に自生していましたが、画期的な薬効が注目を浴び、現在では世界各地で栽培されています。

 日本では近年、健康をテーマにして人気のあるテレビ番組でとり上げられ、ブームに火がつきました。エキナケアと呼ばれることも多いようです。

 ハーブティーにすると、かすかに甘い香りがしますが、苦味や酸味はなく、ほとんど゛味がしません。ブレンドティーで楽しむのがおすすめです。薬効の高いハーブと組み合わせれば、高い効果が期待できます。

 エキナセアは「天然の抗生物質」ともいわれ、抗ウイルス性、抗菌性が高く、免疫機能の強化に大きな効果のあることが実証されています。感染症の特効薬であり、体の抵抗力を高めるので、さまざまな病気の予防や治療にも有効です。ガンやエイズの治療薬としても注目を浴び、研究が進められています。

 風邪やインフルエンザにかかったときに、エキナセアのお茶を飲んでみてください。発熱やのどの痛みなどの症状をやわらげ、回復を早める効果の高さを実感できるはずです。作用が強いお茶なので、飲みすぎるとめまいなどの症状が出ることがあります。

 エキナセアは「インディアンのハーブ」とも呼ばれ、北アメリカの先住民族は、虫刺されやヘビにかまれた傷に用いる薬にしていました。このハーブのすぐれた薬効を知っていたからです。

エキナセアティー

2015年6月18日木曜日

ワイルドストロベリー

○ワイルドストロベリー(Wild Strawberry)

 名前にストロベリーがつきますが、イチゴとはかなりイメージの違うハーブです。一般にイチゴといわれるのはオランダイチゴで、食用に品種改良されたもの。ワイルドストロベリーの実は香りはありますが、イチゴのようなフルーティーなおいしさはありません。

 ワイルドストロベリーは、ハーブティーにしたときも甘酸っぱさやフルーティーな感じはなく、草を思わせるような香りで、素朴な味は番茶のようです。親しみやすさの点では、ハーブの中でトップクラスでしょう。クセの強いハーブとブレンドすると、飲みやすくなります。

 イチョウの調子を整える効果が強いので、下痢のときに効果的です。内臓全体にゆるやかに働き、胃炎の関与にも効果があるといわれます。食欲がないなどにもおすすめです。豊富なミネラルが腎機能を向上させて利尿薬の働きをし、リウマチ、関節炎、痛風などの症状をやわらげます。鉄分が豊富なので、貧血の予防にも効きます。

 乾燥した葉を粉末にして歯磨き粉にまぜて利用されてきました。果実にも、歯にこすりつけると歯石や黄ばみをとる効果があります。果実はこのほか、美白効果の高い美容液としても使われてきました。

 ヨーロッパでは古くから自生していましたが、主として薬として用いられてきました。葉と根は下痢の薬で、茎は傷薬。果実には胃や肝臓の炎症を抑える効果があります。ただ、冬場やおなかの冷やしたときに食べ過ぎると、消化不良の原因になるといわれます。

 ワイルドストロベリーの和名はエゾヘビイチゴ。もともとヨーロッパで栽培されていたものが、アジアの北部、北アメリカに伝わったといわれます。北海道に伝わったものが帰化したために、この名がつきました。

ワイルドストロベリーティー

2015年6月17日水曜日

ローズマリー

○ローズマリー(Rosemary)

 松葉のような針状のローズマリーの葉は樹脂が多く、指でこすると樟脳のようなクセのある匂いが鼻をつきます。ローズマリーのお茶も強烈な香りがしますが、味にはクセがなく、すっきりとしたあと味が印象的です。

 ローズマリーは多くのエピソードが残るハーブで、「マリアのバラ」の意味を持つ名称も、聖母マリアの話にちなんでいます。イエスを抱いて逃避行中のマリアが、いい香りのする白い花が咲く木にマントをかけてひと休みしました。すると、白い花が青いマントと同じ色に変わったそうです。以来、その木をローズマリーと呼ぶようになったといわれます。ただ、近年見られるローズマリーの花は青だけではありません。薄紫、ピンクなど、多彩な色があります。

 花言葉は「記憶」もしくは「思い出」です。この花の独特の芳香が、脳を活性化させるためといわれます。

 ローズマリーのお茶も、強い芳香が刺激になり、血液循環を促進する効果もあるので、香りをかいでいると頭がスッキリしてきます。モーニングティーにぴったりで、特に血圧が低くて朝がつらい人におすすめです。体に活力がみなぎってきて、神経性の頭痛をやわらげる効果や、脂肪分の消化を促進する効果もあるといわれます。

 ローズマリーのエッセンシャル・オイルも薬効が高く、こめかみにすり込むと、ひどい偏頭痛も緩和されます。オリーブオイルと混ぜたものは、フケ防止用の整髪料として古くから使われてきました。育毛に効果があるという説もあります。

 料理用としてはイタリア料理で特によく使われ、少しくさみのある肉と組み合わせされることも多いようです。殺菌作用、酸化防止作用が高いので、食品の保存を助けます。

ローズマリーティー

2015年6月16日火曜日

ローズヒップ

○ローズヒップ

 ローズヒップは、ローズの花の咲いた後につく実のことです。ローズヒップのお茶にはスイートブライヤー、ハマナスなども用いられますが、最も一般的なのはドッグローズと呼ばれる品種です。ドッグローズは、古くから薬効の高いことが知られていました。

 ローマ時代には狂犬病にも効くとされたことから、ラテン語の「犬のバラ」を意味する名前がつけられ、英語でもドッグローズと呼ばれるようになりました。

 ローズヒップには多くのビタミンやミネラルが含まれていますが、なんといっても注目すべきはビタミンCの多いことです。レモンの20倍といわれ、「ビタミンCの爆弾」という過激な呼ばれ方もします。

 ローズヒップのお茶は、フルーティーで甘い香りがします。口に含んでも特別に酸っぱいわけではなく、ちょうど飲みやすいくらいの酸味です。ホールの場合はエキスが出にくいので、熱湯を注ぐ前に実をスプーンでつぶしておくと、エキスの出がよくなり、風味も引き立ちます。ゆっくりと5分以上かけて濃く入れるのがおすすめです。

 豊富なビタミンCに加えて有機酸が含まれているので、ローズヒップのお茶はさまざまな効き目があります。まず、美肌効果。乾燥肌や敏感肌の改善に役立ちます。

 アルコールやタバコに対する免疫力も高めてくれるので、愛煙家や肌荒れが気になる人はぜひ試してみてください。ビタミンCが、風邪の予防や症状の緩和に効果的なのは、よく知られています。

 ビタミンA、B群、Eも豊富なので滋養強壮効果が高く、妊産婦の栄養補給にも活用されます。利尿作用や便通をよくする働きもあり、代謝を促進するので、ダイエットティーとしての効果も期待できます。

ローズヒップティー

2015年6月15日月曜日

ローズレッド

○ローズレッド(Rose Red)

 ローズの起源は、6000年前のバビロニア時代にさかのぼるといわれます。品種改良の歴史も中世以前に始まったとされ、現在に至るまで、膨大な数の品種が生まれています。

 ハーブティーに用いられるローズは、原種に近いオールドローズと呼ばれる品種で、園芸用のモダンローズは適しません。このうち花を用いるのは、ガリカローズ、ケンティフォーリア、ダマスクローズなどです。このほかに、花ではなくローズヒップをお茶にするものあります。

 ここで紹介するのは、花を用いるハーブティー。一般的なガリカ種の中で、特に赤い花を用いるものです。ピンクの花を使うローズピンク、紫の花を使うローズパープルもありますが、風味や効能に大きな違いはありません。それぞれバッズ(つぼみ)を使うお茶もあります。

 ローズレッドのお茶は、甘く上品な香りが優雅にただよいます。あっさりとしたクセのない味で、あと味もさっぱりしています。神経に働きかける作用が強く、気分転換したときや悩み事があるときに飲むと、リラックスできます。神経性の腹痛や下痢を抑えるのにも有効です。

 ホルモンの分泌を調整する働きもすぐれているので、生理不順や更年期障害の症状もやわらげます。

 ローズレッドは、のどの痛みを抑えるのにも強い効果を発揮します。のどの痛み止めとしてローズレッドのチンキ(アルコールでエキスを抽出したもの)が、1930年代まで医薬品として処方されていたほどです。ハーブティーとして飲んでも効きますが、痛みが激しいときには、濃いめに入れてものでうがいをするとよいでしょう。

 ローズレッドの花を、入浴剤として使うのもおすすめ。すぐれた美肌効果があるうえに、美しい花びらを浮かべたバスタブで華やかな香りに包まれて、リラックス効果も抜群です。

ローズレッドティー

2015年6月14日日曜日

レモンバーム

○レモンバーム(Lemon Balm)

 レモンバームはシソ科の多年草で、ミントの一種。見た目はシソに似ていますが、レモンに似た香りがし、料理にもよく用いられるハーブです。地中海地方が原産ですが、貴重な植物としてアラブの商品がヨーロッパにもたらしました。もともとは東洋の植物だったともいわれます。

 レモンバームのお茶は、レモンの香りがしても味に酸味がないので、ほんのりとした甘みが楽しめます。鎮静効果や神経の疲れをとる効果があり、内蔵に働きかけて体を丈夫にします。

 不安感をとり除いて気持ちを明るくしてくれる元気の出るお茶、などといわれるのはこういう効果が高いからでしょう。発汗作用があるので、風邪のひきはじめにこのハーブティーを温めて飲むのもおすすめです。解熱効果と解毒効果で、症状を軽くしてくれます。

 クセのない味なので、他のハーブとのブレンドティーにも向きます。ミント系やレモン系なら、どのハーブと組み合わせてもハズレがないはずです。

 料理に使えば軽いレモン風味をつけることができるので、サラダやスープ、肉料理など、幅広く使えます。カクテルなどに浮かべても、させやかな風味がいきます。

 レモンバームの属名のメリッサは、「ミツバチ」という意味のギリシャ語に由来します。このことからもわかるように、レモンバームは古くからミツバチ深いかかわりがありました。花のミツが良質のハチミツになるとともに、レモンバームにもハチミツやローヤルゼリーのような高い強壮効果があると考えられたのです。

レモンバームティー

2015年6月13日土曜日

レモンバーベナ

○レモンバーベナ(Lemon Verbena)

 レモンバーベナは、南アメリカなどに分布している落葉低木です。夏に枝先に小さな白っぽい花を咲かせます。黄緑色の細長い葉から強い香りを放ち、日本ではコウスイボクとも呼ばれます。

 やや緑がかった黄色のレモンバーベナのお茶は、レモンに似た香りで、酸味の中にかすかな甘みがあります。レモン系のハーブティーの中では風味がまろやかなので、ビギナーにも向きます。レモンバーベナをベースにほかのレモン系のハーブなどを加えるのもポピュラーな飲み方です。リンデン、ローズレッドなどとの組み合わせも人気があります。

 レモンバーベナのお茶は鎮静効果があるので、神経の緊張しているときやイライラするときに効果的です。うつ症状や不眠症をやわらげる働きもあります。体を温め、気管支や鼻の炎症をしずめるので、風邪のひきはじめにもおすすめです。ヨーロッパでは人気が高く、特にフランスの女性に愛されているといわれます。

 ドライハーブでもフレッシュハーブでもてぃーとし楽しめ、ドライハーブは何年も香りを保つといわれます。ドライハーブをそのまま入れると香りはあまり強くありませんが、軽くもんでからハーブティーにすると、レモンの香りがただよいます。胃を刺激するので、長期間にわたって多量に飲むのは避けること。

 自生する木は3~4mにまで育ちますが、冷温帯地域ではそこまで成長せず、ヨーロッパでは室内で鉢植えを育てていることも多いようです。かつては、食事の際に指を洗うフィンガーボールの香りづけに使われました。現在も、コールドウォーターのデカンタにレモンを入れるかわりにレモンバームをひと枝さして香りを加える、といった使われ方があるそうです。

レモンバーベナティー

2015年6月12日金曜日

レモングラス

○レモングラス(Lemon Grass)

 レモングラスはススキに似た背の高い草ですが、葉をちぎってこすると、レモンとそっくりの香りがします。レモンの香りの成分でもあるシトラールを多量に含んでいるからです。

 香りはレモンのようにすがすがしく、酸味のまろやかなレモングラスのお茶は、だれにでも親しまれる味です。フレッシュハーブでも、ドライハーブでもおいしく味わえますが、ドライハーブだと風味がやや落ちます。物足りないようなら、レモンピールなどを少し加えるとさわやかさが引き立ち、味メリハリがつきます。

 レモングラスのお茶には消化を促進する効果があり、食前・食後のお茶にも向きます。刺激があって腹痛や下痢にも効くので胃腸の調子がよくなくて食欲がないときなどにぴったりのお茶です。

 さわやかな風味は疲労回復の効果も高く、集中力が落ちたときや眠けを感じるときに飲むと、気分をリフレッシュしてくれます。発汗や殺菌の効果があるので、風邪やインフルエンザの症状改善にも利用されています。

 家庭でも比較的簡単に育てられる点も、レモングラスの特徴です。日当たりのよいところにおいて水をたっぷり与えれば、すくすくと成長します。寒さは苦手なので、冬場は室内にとり込んだほうがよいでしょう。

 レモングラスは料理にもよく使われ、特にエスニック料理には欠かせません。葉や茎(長ネギのような根元の白い部分)が、さまざまな料理に入っています。タイ料理の代表格であるトムヤムクンにもレモングラスの茎が使われ、辛さに独特の風味を添えています。

レモングラスティー

2015年6月11日木曜日

ラベンダー

○ラベンダー(Lavender)

 ラベンダー「香りの庭の女王」とも呼ばれ、すばらしい香りが広く知られています。数多いハーブの中でも、人気が高いもののひとつです。

 ハーブティーにしたときにも、独特の香りが強くただよいます。お茶にすると華やかな紫色がなくなるので、カップに花をいくつか浮かべるのもいいでしょう。香りの強さが気になるようなら、薄めに入れるが、ブレンドティーにします。

 ラベンダーの名前は、「洗う」という意味のラテン語に由来します。古代ローマでは、公共の浴場で入浴剤として使っていました。洗濯にも用いて、衣類に芳香をつけていたともいわれます。さわやかな香りが、広く愛されていたことがうかがえます。清潔、純潔、長寿、平和などの象徴とされてきました。ただし、妊娠中に大量摂取はしないこと。

 香りには強い鎮静効果があるので、イライラするときや不安感があるときに飲むと気持ちがしずまり、リラックスできて、不眠症にも有効です。頭痛や生理痛をやわらげ、ストレス性の高血圧にも効きます。口臭や腹痛を抑え、おなかにガスがたまっているときにも効果的です。

 用途が広いのも、ラベンダーの特徴です。花を乾燥させてポプリやサシェに入れると、香りが長く続きます。石鹸やロウソクなどの材料としても定番で、最近は鎮静効果を利用したアイピローも登場しています。目の疲れを癒すとともに、高いリラックス効果もあります。

 品種が多いラベンダーの中で、高品質のエッセンシャル・オイルがとれるのは、フレンチ・ラベンダーとイングリッシュ・ラベンダー。ハーブティーにするのは、主にイングリッシュ・ラベンダーです。

ラベンダーティー

2015年6月10日水曜日

リンデン

○リンデン(Linden)

 初夏に黄緑色の小さな花を無数に咲かせるリンデンは、原産地のヨーロッパでは街路樹として親しまれています。

 花と苞(ほう、花に近い部分の葉)を使うリンデンのお茶は、少し甘みのある上品な香りで、すっきりとしたあと味です。消化促進の効果があるため、食事のあとのお茶として、飲まれてきました。

 このハーブティーには神経をしずめる作用もあり、不眠症に効果があります。ヨーロッパでは、子どもが興奮状態で大人のいうことを聞かないときなどに飲ませる習慣があるそうです。花に含まれているビオフラボノイドという成分が血圧を下げ、動脈硬化、心筋梗塞などの予防にも役立ちます。

 神経質な人や、怒りっぽい人にもおすすめのお茶です。すぐれた発汗作用があるので、風邪やインフルエンザの初期症状を楽にしてくれる働きもします。

 花から取れるハチミツは良質な貴重品で、リキュールやドリンク剤、入浴剤など、幅路広い用途で使われます。

 小枝もハーブティーに用いられますが、あまり香りがしないので、他のハーブとブレンドしたほうがよいでしょう。小枝は、腎臓の機能を活性化させる効能が知られています。利尿作用や、コレステロールを減少させる効果があるので、ダイエット茶として有効です。

 リンデンはシナノキ科の高木で、セイヨウシナノキとも呼ばれます。和名はセイヨウボダイジュですが、東洋の菩提樹とは別の品種です。リンデンはドイツ語、英語ではライム。リンデンもライムも、シナノキの樹皮の裏側にあるリネン状の繊維のことを意味しています。この繊維は、かつて魚網にも使われていました。

リンデンティー

2015年6月9日火曜日

ラズベリーリーフ

○ラズベリーリーフ(Raspberry Leaves)

 ラズベリーのきれいな赤い実は、酸味を含んださわやかな甘みで、ヨーロッパでは古くから親しまれてきました。中世には栽培も始められ、多くの変種が登場しています。和名はヨーロッパキイチゴで、日本で自生するキイチゴなどとは別種です。

 葉を使ったラズベリーのお茶は、やわらかな甘みが感じられる香りで、すっきりとした味わいが楽しめます。このハーブティーが注目されたのは、出産を楽にする効果があるからです。助産婦が付き添う形の自然分娩が一般的だった時代には、ことのほか重用されました。

 出産が近くなった時期にラズベリーのお茶を定期的に飲むと、子宮と骨盤の筋肉を強くして、妊婦の負担を軽くしてくれます。子宮を収縮させる効果があるので、産後も飲みつづけると、体力の回復にも役立ちました。

 母乳の出をよくするとともに栄養価を高める効果もあり、妊婦には欠かせない薬といわれたのです。ただし、妊娠初期に飲むと子宮を収縮する効果がよくない影響を与えるので、飲み始める目安は出産予定日の2ヶ月前といわれます。必ず専門医に相談して指示に従ってください。

 子宮に働きかける作用が強いので、妊娠期でなくても、生理痛の緩和に強い効果があります。下痢を抑え、のどの痛みや口内炎の症状もやわらげます。

 甘酸っぱいイメージのわりには、果実にはビタミンCはさほど含まれていません。そのかわり、貴重なミネラルであるカリウムとカルシウムが多量に含まれています。そのまま食べてもとてもおいしく、ジャムやお菓子などにも利用しやすいヘルシー食材です。

ラズベリーリーフティー

2015年6月8日月曜日

ユーカリ

○ユーカリ(Eucalyptus)

 ユーカリには500種を越える品種があり、オーストラリアにもともと生えていた木は大半がユーカリの仲間といわれます。その中で最も一般的な品種が、タスマニアン・ブルー・ガムとも呼ばれるユーカリプタス・グロブルスです。

 コアラの大好物として知られるユーカリは、人間にとっても有効な成分を含んでいます。オーストラリアの先住民族であるアボリジニは、葉を消毒や解毒に使い、葉や小枝から採取したエッセンシャル・オイルをさまざまな用途に使っています。

 ユーカリの有効成分は、殺菌効果や抗ウイルス作用が強く、のどの炎症や痛みを抑えることから、のど飴などの原材料として盛んに使われています。熱湯にエッセンシャル・オイルをたらして蒸気を吸い込むだけで、のどの痛みがひいて鼻がすっきりし、呼吸が楽になります。

 ユーカリのお茶にも同じような効能があり、風邪やインフルエンザによる、のどの痛みや鼻づまりを緩和します。目の充血、鼻水などの花粉症の不快な症状を抑えるのにも効果的です。血液の循環をよくする働きもあるので、冷えや肩こりに悩んでいる人にもおすすめ。低血圧を改善する効果もあります。

 ユーカリの生葉には樟脳(しょうのう)に似た薬っぽい独特の香りがあります。お茶にしたときにもこの香りが少し残っていますが、飲んでみるとほとんど気になりません。慣れてくると、さわやかな風味が感じられるはずです。好みによっては、ほかのハーブとブレンドしたり、少量のハチミツを加えたりしてもよいでしょう。

ユーカリティー

2015年6月7日日曜日

マロウ

○マロウ(Mallow)

 マロウは、古代ギリシャ・ローマ時代から、葉や茎は食用の野菜として、花、葉、根はお茶として利用されてきました。中世になって世界中で栽培されるようになり、現在では変種は1000種にも及ぶといわれます。鎮痛、消炎などの作用が知られていて、重用されてきました。

 いれたときにはあざやかな青色のお茶は、時間が経つにつれて紫色になります。レモンを数滴加えると、今度はさわやかなピンク色に。色の変化も楽しめる、このきれいなハーブティーは、のどや気管支の炎症に効果があります。

 せきが止まらないときや痰がからむときに飲むと、症状を楽にしてくれます。濃い目に入れたものでうがいをするのも、のどの痛みを抑える効果があります。タバコの吸いすぎが気になる愛煙家にも、おすすめのお茶です。

 体をリラックスさせる効果もあるので、ごくおだやかな味わいのハーディーを楽しめば、ゆったりした気持ちになれるでしょう。

 和名はウスベニアオイですが、日本のアオイとは別種です。ちなみに日本原産のアオイ属はなく、古くからアオイと呼ばれたフユアオイも、アジアの温帯から亜熱帯にかけてのものといわれます。

 同じマロウの仲間でよく知られているのは、最も薬効が高いマーシュマロウ(ウスベニタチアオイ)です。のどや気管支の炎症を抑えるほか、消化器系の潰瘍、大腸炎などの治療に使われ、ハーブティーとしても飲まれます。

 ジャコウの香りのするムスクマロウも園芸用としては人気のある品種ですが、お茶にはしません。

マロウティー

2015年6月6日土曜日

マリーゴールド

○マリーゴールド(Marigold)

 マリーゴールドは中東やヨーロッパに多い花ですが、日本のキンセンカと同じ仲間です。どんな土壌でも育つ花なので野山でも見かけることが多く、花が咲いている期間が長いところから、「何ヶ月も通して」といった意味になるラテン語の「カレンデュラ」が属名になっていて、この名前で呼ばれることも多いようです。

 マリーゴールドは、シェークスピアの作品に登場するなど、西洋では古くから親しまれてきました。若葉が食用になり、花は薬用のほか、料理にも使われました。サフランの代用品として米料理などの色づけに使ったり、生のままでサラダやピラフに添えたり、あざやかなオレンジ色が料理のアクセントになったのでしょう。

 マリーゴールドのお茶は花を使います。輝くような美しい黄金色で、少し苦みがありますが、肝臓の働きも助けてくれます。帯状疱疹などの発疹性の皮膚病の症状を緩和する効果もあります。

 マリーゴールドが古くから重用されてきたのは、傷に塗る外用薬としてです。やけどや傷口にマリーゴールドのエッセンシャル・オイルを塗ると、痛みをやわらげ、傷の回復も早めることで知られています。マリーゴールドのお茶も、外用薬として使うと肌の炎症を抑えるので、やけど傷だけでなく、日焼けしたときなどのスキンケアに効果的です。

 薬用のポット・マリーゴールドは、園芸用のフレンチ・マリーゴールドより花が大きく、ハーブティーにして飲むのも薬用のポット・マリーゴールドのほうです。

マリーゴールドティー



2015年6月5日金曜日

マジョラム

○マジョラム(Marjoram)

 スイートマジョラムとも呼ばれるハーブで、オレガノなどの仲間です。特有の風味はオレガノよりも甘みや香りが強く、タイムにも似ています。

 マジョラムは、古代ギリシャ・ローマ時代から食用や薬用に広く活用されてきました。幸福をもたらすハーブと考えられ、結婚するカップルの頭にマジョラムの花冠をのせて祝ったと言い伝えられます。墓の上にマジョラムが生えると、死者が幸せになるともいわれました。

 ホップが登場する以前に、ビールの醸造に使われたこともあります。香りづけと防腐剤の役割があったそうで、芳香剤や化粧品にも用いられ、家具や床を磨くときに用いられることもありました。

 イタリア料理では香りづけによく使われ、ソーセージ、スープ、野菜料理のほか、マトン、臓物類のクセのある肉料理とも相性がいいよいです。リキュールの材料にもなります。

 マジョラムのお茶はやや苦みがあり、古くから消化を促進して胃腸の働きを助けるとともに、体内毒素を排出する効果がある薬と考えられていました。さわやかな風味が食欲を増進させるので、食欲がないときに食前に飲むのもおすすめです。

 鎮静作用もあるので、気持ちを落ち着かせ、不眠症状をやわらげます。風邪の諸症状や頭痛を抑える効果もあります。ビタミンAを豊富に含む葉には麻酔作用があり、かむと歯痛がおさまります。

マジョラムティー

2015年6月4日木曜日

ペパーミント

○ペパーミント(Peppermint)

 ミントには、交配種や雑種が数多くあり、メントールの刺激的な風味が特徴のペパーミントも、もともとはスペアミントとウォーターミントの交配種です。ペパーミントは特に効果が強いことが知られ、ヨーロッパで薬用にされるのは、ほとんどがペパーミントです。

 メントールの含有量だけをくらべると、ニホンハッカに及びませんが、その分ほかの成分を含み、独特の風味や甘みと、すぐれた薬効を生み出していると考えられます。成分が胃壁を刺激し腸内のガスを減らすまで消化を促進する強い効果があり、腹痛や胃痛を抑えます。

 食べすぎや消化不良による胸やけや吐きけは、ひどくなると偏頭痛を伴うこともあります。そんなときに、おすすめなのがペパーミントのお茶。コーヒーを飲みすぎている人は、かわりにペパーミントのお茶を飲むようにするだけで、胃の調子がよくなることがあります。香りに爽快感があり、口の中をさわやかにしてくれるので、食後にもピッタリです。

 ヨーロッパではスペアミントのお茶が好まれていますが、日本ではペパーミントティーも人気があります。ペパーミントのお茶には、このほかに強壮や殺菌の効果もあるので、せきをしずめ、不眠症状にも効きます。

 さまざまな効能があるので、常備役的な意味合いで用意しておきたいハーブティーです。ただし、妊娠中、授乳中の人は飲みすぎないこと。

ペパーミントティー

2015年6月3日水曜日

フェンネル

○フェンネル((Fennel)

 パン、アップルパイ、カレー....フェンネルはさまざまな料理にスパイスとして使われます。このハーブを料理に使い始めた国といわれるイタリアでは、パンを焼く窯にフェンネルを敷きつめ、風味をつけたりもします。とりわけ相性のよいことが知られるのが魚料理。魚の臭みを消す働きがあることから、いっしょに煮たり焼いたりします。和名はウイキョウで、中国では感じで「茴香」と書きます。腐りかけた魚肉に混ぜるとよい香りが回復することから、「回香」と呼ばれたことに由来するといわれます。

 日当たりさえよければどこでも育つといわれるぐらい丈夫な多年草なので、南ヨーロッパから西アジアにかけて広く分布しています。古くから人々の生活に結びついていて、薬としても長い歴史があります。エジプト時代のパピルスにも、その薬効に関する記述が残っています。

 なかでも注目されていたのは、ダイエット効果。ギリシャ語でフェンネルのことを「マラスロン」といいますが、これは「やせる」という意味の言葉から派生したといわれます。利尿作用で体内の余分な水分を排出するとともに、便秘を解消しておなかにたまったガスを出す働きがあるためです。フェンネルのお茶は、スパイシーな香りの中にやや甘みがあり、食欲を抑えます。このあたりもダイエット効果に一役買っているのです。

 授乳期に飲むと母乳の出をよくすることでも知られますが、子宮を刺激するといわれるので、妊娠中は大量にとらないこと。

 フェンネルのエッセンシャル・オイルも強い薬効があり、ハチミツと一緒にお湯に溶かしたものは、せき止めの薬として使われてきました。関節炎やリウマチなどの患部に塗ると、炎症をしずめます。フェンネルのお茶を飲んでも、せき止めの効用が期待できます。

フェンネルティー

2015年6月2日火曜日

パッションフラワー

○パッションフラワー(Passionflower)

 パッションフラワーは、花の形が時計の文字盤に見えるところから、トケイソウとも呼ばれます。花の各部が、はりつけの刑にされたキリストの姿を象徴しているとも考えられ、パッション(受難)フラワーの名前がつきました。

 このハーブは「天然の鎮静剤」といわれるほど強い鎮静作用があり、不眠症に効きます。たいていの不眠症にききますが、特に有効なのは、神経性の不眠症の場合です。心配事があり、眠いのにいつまでも寝つけないというような時に、パッションフラワーのお茶はピッタリです。

 極度の緊張によって頭痛や筋肉のこわばりがあるような重症のときにも、効果があります。多少苦みがあるもののクセのないまろやかな風味で、ゆつくり味わうだけでも、心を落ち着かせてくれます。なかなか寝つけないときや、眠りが浅いときにもおすすめのハーブティーです。

 鎮静剤を常用すると、習慣になって薬がないと眠れなくなってしまうことや、うつ状態を誘発することがありますが、パッションフラワーのお茶なら、そういう心配もなく、やすらかな眠りに誘ってくれます。

 不眠症でなくても、不安感や緊張を強く感じるようなときに飲むと、リラックスした気分になれます。動悸を抑え、血圧を下げる効果もあります。体質によっては、眠けを催すことがあるので、車の運転などの予定があるとき、妊娠中は控えるほうがよいでしょう。

パッションフラワーティー

2015年6月1日月曜日

ハイビスカス

○ハイビスカス(Hibiscus)

 ハーブティーに用いられるのは食用のローゼル種の果実といわれていますが、これは正確には果実ではありません。花びらが落ちたあとに、花を保護する萼片がふくらんで果実状になったものです。ちなみに、南国で見かける真っ赤なハイビスカスは鑑賞用のもの。食用のローゼル種の花はこれに比べると小さく、淡いピンク色のものやクリーム色など、いろいろな色があります。ただ、中央の萼はいずれも濃い赤色です。

 ルビーを思わせるようなハイビスカスのお茶のきれいな赤い色は、産地によって微妙に違います。中国産の紫色に近い暗い赤で、スーダン産は赤みがかったオレンジ色。エジプト産は両者の中間ぐらいの色です。いずれも酸味の強さが特徴で、甘い香りがしますが、甘みはほとんどありません。酸味がきつく感じられるなら、ハチミツを加えるかブレンドティーにすると飲みやすくなります。

 酸味の成分は、多量に含まれるクエン酸と酒石酸。梅干しなどにも含まれるクエン酸は、近年その優れた疲労回復効果が注目され、スポーツドリンクに用いるアスリートも増えているそうです。食欲を増進させる効果も期待でき、体のだるさを感じている人や疲労感が強い人でも、元気が出ます。アイスでもさわやかな風味なので、夏場にはアイスティーで飲むと、夏バテ対策にぴったりです。

 このほかに、カリウムが多く含まれているので利尿作用があり、体のむくみや二日酔いに効果があります。お酒をの飲みすぎたあとや、翌朝に飲むと症状を楽にしてくれます。眼精疲労の予防と回復に働くのも、うれしい効能です。パソコンを使うことが多くて目の疲れを感じている人は試してみてください。ビタミンCが豊富なので、肌荒れを抑える効果もあります。

ハイビスカスティー